2021年2月24日に専門紙「空調タイムス」に「Kグリーンエナジー」について掲載されました。
掲載内容
低廉かつ安定的に水素を生成
海流(黒潮)発電システム部門を分社化、エネルギー変換効率約4割の高効率
日本システム企画は脱炭素社会を実現する新発電システム「Kグリーンエナジー」の研究・開発部門を今月1日付で分社化した。Kグリーンエナジーは同社が約13年前から取り組んできた海流(黒潮)発電システムで1年を通じ安定的に流れている黒潮の運動エネルギーを利用して発電し、この電気を使って脱炭素社会の実現における有力エネルギーの一つ「水素」を効率的に製造するもの。
海流発電は日本を含め世界各地で研究が進められているが、エネルギー変換効率の低さが課題となっている。同社は、低い変換効率の原因がプロペラによる運動エネルギーの回収にあると分析。エネルギーの回収手法として独自の水車羽根を考案し約4割という高い変換効率を実現した。
2009年から14年にかけて「発電機の構造設計施策及び試験機の河川における実験」「大規模発電機の羽根の構造及び強度試験」「発電効率を高めるためのローター及び可変翼の改良実験」「発電効率を最高に高めることの確認実験」など4段階に分けて各種試験を実施。この第4段階の試験では理論的発電量である37%の発電効率を達成した。
並行して特許取得活動も積極化。これまでに①発電基本体、②発電効率を向上させる(流速の速い場所に設置する)技術、③トータルコスト削減に繋がる発電機の設置工事を安くする設置工事方法、④コスト削減に寄与するメンテナンス回数を削減するための発電機の構造、⑤発電効率を高めるための海流の蛇行に合わせ方向を自動制御する方法、⑥単一地区により多くの発電機を海中設置するための技術、⑦発電したエネルギーを水素で貯蔵・運搬する技術、⑧水を効率よく水素と酸素に電気分解する技術_等の特許を取得している。
新会社は現在、実際の黒潮を使った実地試験に協力してくれる自治体を募っている。菅首相が世界に約束した「2050年に温室効果ガスの排出量実質ゼロ化」の実現では、内燃機関自動車から電気自動車への転換など端末側の更なる電気化等が謳われている。当然、電力需要が大幅に増大するが、これを賄うだけのクリーンエネルギー発電は心細い状況。水素はエネルギー源として有望視されているものの、その製造方法や運搬・貯蔵方法には課題が多い。「Kグリーンエナジー」は、水素を低廉、かつ、安定的に調達する方法として極めて有望であり、今後の動向が注目される。